1.税理士会と公認会計士協会それぞれの主張とは?
1-1.日本税理士会連合会の意見広告
日本税理士会連合会は、9月28日付日本経済新聞朝刊に税理士法改正の必要性を訴える意見広告を掲載しました。
PDFファイルが開きます⇒日本税理士会連合会の意見広告
現在、公認会計士や弁護士の資格があれば「税理士資格」も特典としてついてくる。 という状況なのですが、以前から税理士会側からはこれについて異議を唱えています。
コラムタイトルは少しキャッチーですが、両者の違いが中小企業にどのような影響を与えるでしょうか?
税理士会の公認会計士に対する主張を抜粋すると以下のようになっています。
「公認会計士、弁護士に対して「税理士資格」を自動付与する制度の廃止を訴えます。 公認会計士または弁護士に税理士の資格を付与するにあたっては、 税法または会計科目に合格する等の一定の能力担保措置を講ずるべきです。 それは、より一層納税者の信頼に応え得る制度の構築のため必要不可欠な改正です。 よって、税理士法第3条第1項3号・4号及び第2項を廃止し、 無条件に資格を付与される現在の制度を改めるべきです。」
1-2.日本公認会計士協会の意見広告
税理士会の意見広告に対して、日本公認会計士協会も2013年10月25日の日経新聞に意見広告をあげています。
PDFファイルが開きます⇒日本公認会計士協会の意見広告
おおまかに以下のようになっています。
- 公認会計士を税務業務から排除すると納税者側の選択の利益がなくなる
- 税理士や国税出身、弁護士、公認会計士など広く企業側に選択させていている
- 税理士会のいう能力担保は公認会計士試験と継続的な税務研修で確認済み
- 租税法という科目で税務も試験範囲に入っており、実務研修も実施している
- 他国の多くが会計士(accountant)が税務業務を兼ねているおり国際標準に反するべきでない
- 世界的には会計・税務は会計士がおこない、税理士という制度がないところが一般的
2.税理士と公認会計士の試験制度の違いとは?
2-1.公認会計士の試験制度
公認会計士の試験科目は短答式と論文式に分かれており、 税理士試験のように科目合格制度というものはないため一発勝負です。(三次試験は省いています)
短答式【財務会計論、管理会計論、監査論、企業法(会社法、金融商品取引法など)】
論文式【会計学、監査論、企業法、租税法、選択科目(経営学、経済学、民法、統計学)】
2-2.税理士の試験制度
税理士試験は以下のように必須科目、選択科目合わせて5科目の試験になっています。
特徴として一度合格した科目は次年度以降受験する必要がない点です。
必修科目 [簿記論、財務諸表論]
選択必修科目 [法人税、所得税]
選択科目 [相続税法、消費税法又は酒税法、国税徴収法、事業税又は住民税、固定資産税]
(その他にも税理士になる方法は4つあり、以前のコラムにまとめていますので参照してください。)
過去コラム⇒『税理士になる5つの方法』
3.まとめ
どちらが難しいとか専門的かではなく、この試験科目を比べた場合に企業にとってそれほど大きな違いが表れるのか?というところがポイントだと思います。
多くの税理士紹介でマッチングをして士業、経営者の方々とお話しさせていただきましたが、 結論だけ言うと、会計士と税理士の肩書だけで顧問契約をする企業にとって違いが出るのか?というとそうではないと思います。
税理士試験で法人税に合格していない税理士も企業の顧問税理士をしています。
時代の流れから相続対策に力を入れている公認会計士もいます。
資格試験だけで実務的な能力が担保されるかといえば両者とも100%ではないような気がします。
多くの士業の方は実務や研修によって知識、経験を蓄積されているのではないでしょうか?
もし、税理士会が公認会計士の税務業務に制限をかけたいのであれば、他の士業の方もおっしゃっていましたが、
「税理士会が税務署OBの指定研修に対しても税理士試験レベルの能力担保措置を講ずる。」
「大学院修了による科目免除を廃止して税理士試験レベルの能力担保措置を講ずる。」
「税理士の36時間研修を資格はく奪付きの義務化とする」
といったようなこともあわせて主張されるくらい税理士会が踏み込むことができれば説得力があっていいと思うのですが、 なかなか難しいでしょうか。。。
もともと税理士の多様性を持たせるために5つもルートを用意していると思うので公認会計士だけでなくすべてについて見直すようなことがあっても良いかと思います。
(そもそも、公認会計士より弁護士に税理士資格を与える方が業務レベルとしては問題あるように思います…)
ちなみに、最後の税理士会の36時間研修に関しては以前コラムにまとめておりますが、近畿税理士会で31.9%の達成率という状況です。
過去コラム⇒「税理士の研修制度の実態」
今後、TPPにより海外の会計士が日本で資格業ができるようになるといったことも増えるかもしれないといった声もあるなかで、税理士と公認会計士のどちらの主張が正しいかではなく、企業側から見たときにいろんな選択肢の中から安心して経営サポートしてくれるような専門家を選べるような制度になればいいと思います。
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