亡くなられた方への想いに浸りながらも、相続という手続きを順次進めていかなければならないのが相続人の務めとなります。
遺産相続で失敗しない為に抑えておきたい注意点を6つ、ご紹介させていただきます。
①相続するのは「相続人」であるという自覚を持つ
相続人が複数人いる場合は、相続人の数だけそれぞれの事情があります。それらの事情をすべて切り離すことは無理だとしても、相続人以外の意見をすべて聞く必要はありません。相続する権利がある人同士で話をまとめていかないと、まとまる話もまとまらず出口を見失ってしまいます。
②相続人、相続財産を確定させる
後になってから、実は親が認知した子がいた、借金があったといった事情が判明すると、その度に遺産分割協議をやり直すことになります。養子縁組があると複雑になることもありますので、戸籍など必要な資料を集め、また財産調査も行い、正確に誰が相続人になるか、相続財産がどのくらいあるのかといったことを確定することが大切です。
③単純相続するのか、相続放棄するのか、限定承認するのか決定する
遺産をそのまま相続することを「単純承認」といいます。「相続放棄」は最初から相続人ではなかったことになります。「限定承認」はプラスの財産の範囲内でマイナスの財産を受け継ぎ、残りがあれば相続するというものです。
遺産に借金等のマイナス財産も含まれますので、どの相続方法を選択するのか慎重に確認することが重要です。
親の財産だから相続するのが当たり前という考えでは、膨大な借金を抱え込み、自分の財産で相続した借金を払い続けるということにもなりかねません。
選択する相続方法による注意点も異なります。例えば、「限定承認」は相続人全員が同意する必要がありますので、一人でも反対の意を表すればこの相続方法を選択することはできなくなります。「相続放棄」を選択する場合には、家庭裁判所において申述する必要が出てきます。遺産分割協議書に「相続放棄」と記載しても、それは相続分がゼロという割合を表明しているにすぎません。債権者から返済の催告をされた場合には相続放棄をしたと抗弁できず、返済をしなくてはならなくなる為、注意が必要です。
相続方法によって特徴がありますので、どの方法を取るかは相続対策に強い税理士事務所と相談しながら決めることをおすすめします。
④不動産の共有を行うか否か、専門家とも相談を
相続財産に不動産がある場合に、相続人同士で共有することがありますが、後々トラブルが起きるケースがありますので不動産の共有を行う可能性がある場合には、相続に強い税理士との相談の上進めることをおすすめします。
不動産を共有することによって起こりうる問題の一例
・共有者のうちの誰かから、家の売却話が出てきた場合
→家を売りたいと誰かが思ったとしても、共有者全員の意見が揃わなければ決定することが出来ません。共有名義人のうちの誰かが自宅として使っていることも十分に考えられますので、子どものいる家族だとすると生活の場所を変えることは簡単ではありません。
・共有者の内の誰かが亡くなってしまった場合
→共有持分のさらなる細分化という問題が出てきます。共有者が亡くなると、持ち分が相続人の数だけ細分化することになり、どんどん共有者が増えていきます。共有者が増えることで、共有者全員の意見をまとめることが困難になり、遺産分割を行うことが難しくなります。いずれ知らない第三者から、その持分を高額で買い取ることを求められることもあるかもしれません。
⑤遺産分割協議書は必ず書面にする
「身内のことなので、書面にしなくても良いのでは」と考えてはいけません。仲が良い、親しい間柄だからこそ、後々揉めないように文書で残すことが大切です。文書にすることで、言った、言わないの水掛け論を回避することが出来ます。文書に残っておらず決着が付かない場合には、法廷での争いとなることもあり、従前の平和な関係が戻って来なくなってしまいます。
⑥相続税対策は次の相続まで考える
父親の相続の後、いずれ母親の相続が続くというケースもあります。父親の相続のときに、母親は配偶者控除があるからという理由で、母親にたくさん相続をさせるという場合がありますが、状況によっては、その母親が亡くなった後に高額な相続税を納めることになることもあります。二次相続まで考えて遺産分割協議をすることをお勧めします。
相続人・遺産内容を確定させるのは大変なことです。故人の想い出に浸ることもできない状態で、相続の手続きを進めなくてはならないこともあります。相続は手続きが面倒なことが多く、決して小さなミスでも許してもらえないことが多いので、相続の専門家に相談されることをおすすめします。
遺産が不明な場合や、相続した後も争わずに済むように相続したいとお思いの方は、どうぞ税理士紹介タックスナイトにご相談ください。相続に強い税理士をご紹介させていただきます。