相続対策の失敗例:生前贈与の失敗例 / 相続税の配偶者控除の落とし穴

税理士コラム:相続 相続税 相続対策 生前対策

相続対策を行うことによって、思わぬ争いが起きたり、予想に反して税額が大きくなったりすることがあります。

今回、2つの相続の失敗例を記載いたします。

失敗例①「生前贈与の失敗例」

例えば、長男だけに大学入学資金・教育資金の援助した多額の現金を生前贈与したような場合には、相続が開始したときに他の法定相続人からクレームが出ることがあります。

特定の相続人に偏った生前贈与をすると、その長男が受けていた分については「特別受益」として評価することができ、相続財産に持ち戻してそれぞれの相続分を計算することになります。

つまり、長男の法定相続分のうち生前贈与された分はすでにその法定相続分に含まれているという認識のもと、遺産分割協議をすることとなります。

遺言による遺留分侵害に対して遺留分減殺請求を受けることになる為、親が良かれと思って生前贈与を行うことによって、相続人同士でトラブルが発生するばかりではなく、相続財産において長男の取り分が結果的に減ることになってしまいます。

なお、特別受益によって得た財産は、「相続開始時点の評価額」によって計算します。

すなわちたとえば20年前に不動産の生前贈与を受けていた場合においては、当時の評価額が1,000万円であった不動産が、相続開始時点での評価額が5.000万円に高騰していたとすれば、5,000万円の生前贈与があったものとして特別受益の計算することとなります。

ちなみに相続税の申告においては、「生前贈与時点での評価額」によって計算します。遺産分割と相続税の申告とでは計算の基礎が異なっていますので注意が必要です。

このような遺産分割のトラブル発生を回避するためには、すべての法定相続人予定者に不公平感がないように生前贈与をすることが肝要です。生前贈与が本当にあったかどうかについて法定相続人間で言い争いになることもしばしばありますので、贈与契約書を作成しておくなどによって、後になって相続人同士が争うようなことがないように配慮することが大切です。

※参照:相続税の計算(国税庁ホームページ)

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失敗例②「相続税の配偶者控除の落とし穴」

被相続人が6億円の財産を遺して亡くなり、相続人が配偶者3億円、長男と次男それぞれ1億5,000万円ずつ相続した場合を見てみます。

配偶者は配偶者だけに特別に認められた相続税の配偶者控除という制度があり、この制度を活用することで1億6,000万円または配偶者の法定相続分のいずれか高いまでは相続税が非課税となります。

上記の場合、配偶者は法定相続分である3億円を相続していますが、配偶者控除の適用によって、この段階での相続税は非課税となります。

ところが、とりあえず配偶者がたくさん相続しておけば相続税が非課税となるというように安易に考えて相続税の配偶者控除を使うと、後で大変なことになります。

というのも、その配偶者が死亡し、新たな相続(二次相続)が開始した場合において、その相続財産の多くを相続した相続人には、より多くの相続税を支払わなければならないことになります。

二次相続においては、一時相続と比べて相続人が1人減ることで相続税の基礎控除の額が減ることになり、さらに配偶者がもともと持っている固有の財産もある場合には、適用される相続税の税率も上がり、一時相続に比べて高い税率で相続税が課税される可能性が高くなるのです。二次相続のことも視野に入れて遺産分割を行うことが望ましいです。

※参照:配偶者控除(国税庁ホームページ)


せっかくの相続対策がかえって争いを起こす火種にならないよう、相続対策を行う際には相続専門の税理士と相談しながら進めることをおすすめします。

生前対策をはじめたいとお思いの方や、二次相続のことまで考慮した相続対策を行いたいとお考えの方は、どうぞ税理士紹介タックスナイトにご相談ください。相続に強い税理士をご紹介させていただきます。

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