相続税を納める際、物納という方法があります。今回はこの物納についてご紹介したいと思います。
相続税の物納とは
仮に3,000万円を相続税として納めなければならない場合に、その3,000万円は金銭で納める必要があります。
そのときに現金で3,000万円が用意できないとなると、対応方法は三つあります。
一つは延納という方法です(相続税法第38条)。延納というのは、納付期限を後日に延ばしてもらい、その時に全額納付するという意味ではありません。分割して支払うことによる納付期限の延長を認めてもらうことです。
次の選択肢は、相続した財産を売却して現金化することで、相続税を納めるという方法があります。
そして最後の一つに、物納という方法があります。延納によっても相続税を納めることが難しい事情があるような場合には、現金の代わりに不動産などの財産を納めることができます。
この物納が認められる為には4つの要件があり、それらをすべて満たしたときにしか認められません。
例えば借地権が設定されている土地を物納しようとすると、その借地権者の所在が明らかでなければ物納はできないのです。また、株式を物納したくとも、譲渡制限付きのものは物納できませんし、ハワイにある別荘を物納するということも不可能です。
物納が認められる4つの要件
要件1 | 延納でも金銭で納付することが困難な場合で、その納付を困難とする金額を限度としていること |
要件2 | 物納を予定している財産が定められた種類の財産であり、定められた順位によっていること 第1順位 不動産、船舶、国債証券、地方債証券、上場株式等 第2順位 非上場株式等 第3順位 動産 |
要件3 | 物納適格財産であること ・管理処分不適格財産に該当しないもの(担保権がついていない不動産等) ・物納劣後財産に該当する場合には(地上権・地役権が設定されている不動産等)、他に物納に充てるべき適当な財産がないこと |
要件4 | 物納申請書と物納手続関係書類を期限までに提出すること |
相続税は、被相続人(故人)が亡くなったことを相続人が知った日の翌日から10か月以内に、申告・納付の手続をしなくてはなりません。10か月は、あっという間です。相続手続には多くの時間と手間がかかるもので、更に亡くなられた後の事務処理にも、結構な時間が必要となりますので納税に関することなど含め、早めの準備を行うことが重要となります。
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