遺贈義務者の負う責任
遺贈義務者の負う義務とは遺贈を行うことですが、もう一つ重要な責務があります。それは、担保責任です(民法第998条)。
遺贈義務者は、遺贈の目的物に対する権利に瑕疵(欠陥)があり、受遺者が第三者に目的物を取られてしまった(追奪された)場合や、物自体に瑕疵があった場合は、担保責任や瑕疵のない物との交換をする責任を負います。
遺贈義務者となれば、たとえば他の誰かが勝手に遺贈の目的物を処分してしまった場合にも、共に責任を負わなければならないということです。
その意味で、遺贈義務者の責任は重いものだといえるでしょう。
遺贈のトラブルを防ぐには
相続人や包括受遺者は、法律の専門家というわけではないので、遺贈義務者となってもスムーズな遺贈を行えるとは限りません。そこでトラブルを未然に防ぐため、遺言執行者を指定しておくという方法があります。
遺言執行者には弁護士や信託銀行などの専門家を指定できますので、遺贈に限らず、遺言の執行に伴う困難を排除することができるのです。
遺贈義務者の負う義務は重いものであり、時にはトラブルも招きかねません。適切な知識と経験を有する遺言執行者を専任しておくことで、そうした問題を避けることができます。遺言によって遺贈を行いたい場合、執行のことも念頭に置いて対処しておくことが大切です。