財産の性質に適した分割をするべく、相続財産をその状態を変えることなく現物のまま分ける現物分割という遺産の分割方法が考えられました。
この現物分割には、メリット・デメリットがありますので、以下に記載していきたいと思います。
現物分割のメリット・デメリット
現物分割のメリットとしては、シンプルで明快という点が挙げられます。
財産をそのままの形で分けて相続することになるため、権利関係の混乱などが生じません。
場合によっては遺産の価額を評価する必要もなく、代償分割のように相続のための金銭(代償金)が求められることもありません。
他方、デメリットは相続人間の公平性を確保しにくいという点です。
現物分割は遺産を現物のままで分けるため、細かい部分での価額の調整がしにくいのです。
たとえば、3000万円の甲土地と2000万円の乙土地、400万円の丙車を3人の相続人が現物分割するとなると、甲土地、乙土地、丙車をそのまま1人ずつ相続することになります。
これでは、かなりの不公平感が出てしまうでしょう。
どのようなときに現物分割すべきか
したがって、現物分割は複数の相続財産の間にあまり価額の差がないときに行うべきといえます。
また、相続人同士で多少の相続財産の価額差が出ても受け入れられる場合には、採りやすい方法といえるでしょう。
遺産分割の際に、スムーズに事が進まない、というケースは少なくないでしょう。
相続人が多くなればなるほど、各々考えや立場が変わってきます。
なるべく揉めずに相続を行うには、状況や相続の性質に理解のある専門家に早めに相談し、対策していくことが望ましいです。