はじめに
2019年10月の消費税増税に伴い、自動車に関連する税金のしくみが大きく変わります。今回の記事では、自動車税のグリーン化特例の見直しや自動車取得税の廃止、「環境性能割」の創設など、車を買う人にとって注目すべき税金のポイントについてご紹介していきたいと思います。
1、2019年10月から自動車税が減税されます。
消費税が増税となる2019年10月1日、車に関する税金のしくみが大きく変わります。まずは自家用の乗用車(登録車)の所有者にかかる「自動車税」についての変更点は次の通りです。
2019年10月1日以降に初回新規登録を受けた自動車については、以下の表のとおり自動車税が減額されます。つまり、消費税の増税による負担が増える一方で、自動車税については負担が抑えられることになります。
なお、軽自動車の所有者に課せられる「軽自動車税」については、2019年10月1日のタイミングで税率が変更される予定はありません。
自動車税の税率比較
排気量 | 引下げ前の税率 | 引き上げ後の税率(引下げ額) |
---|---|---|
1,000cc以下 | 29,500円 | 25,000円(▲4,500円) |
1,000cc超1,500cc以下 | 34,500円 | 30,500円(▲4,000円) |
1,500cc超2,000cc以下 | 39,500円 | 36,000円(▲3,500円) |
2,000cc超2,500cc以下 | 45,000円 | 43,500円(▲1,500円) |
2,500cc超3,000cc以下 | 51,000円 | 50,000円(▲1,000円) |
3,000cc超3,500cc以下 | 58,000円 | 57,000円(▲1,000円) |
3,500cc超4,000cc以下 | 66,500円 | 65,500円(▲1,000円) |
4,000cc超4,500cc以下 | 76,500円 | 75,500円(▲1,000円) |
4,500cc超6,000cc以下 | 88,000円 | 87,000円(▲1,000円) |
6,000cc超 | 111,000円 | 110,000円(▲1,000円) |
総務省 地方税制度を元に表作成
上記の自動車税の減額に加え、電気自動車などの環境配慮車の普及促進を進めていることから、環境配慮車を所有する場合はさらなる自動車税の減額措置が用意されています。それが「グリーン化特例」です。
2、グリーン化特例により税負担が軽減されます。
グリーン化特例は、環境性能の優れた自動車の普及を促進するために設けられた制度です。特例の適用期間中に電気自動車やプラグインハイブリッド自動車などの環境に優しい車を取得した場合、取得した翌年度分の自動車税が軽減されます。
次の表のとおり、電気自動車などであれば、グリーン化特例により、自動車税は概ね75%軽減され、その他の車については、国が定める燃費基準に対して、どれくらい高いレベルで達成できているかによって軽減される度合いが変わります。
グリーン化特例(軽課)による自家用の乗用車(登録車・軽自動車)に係る軽減割合
自動車の燃費性能等 | 2019年4月から2021年3月までの間に購入した場合 | 2021年4月から2023年3月までの間に購入した場合 | ||
---|---|---|---|---|
登録車 | 軽自動車 | 登録車 | 軽自動車 | |
電気自動車等※1 | 概ね75%軽減 | 概ね75%軽減 | 概ね75%軽減 | 概ね75%軽減 |
★★★★かつ2020年度燃費基準+30%達成車※2 | 概ね50%軽減 | 軽減なし | 軽減なし | |
★★★★かつ2020年度燃費基準+10%達成車※2 | 概ね50%軽減 | 概ね25%軽減 |
総務省 地方税制度を元に表作成
※1 「電気自動車等」とは、登録車の場合は電気自動車、燃料電池自動車、天然ガス自動車(平成30年排出ガス規制適合(3.5t以下の自動車)又は平成21年排出ガス規制からNOx10%低減達成)、プラグインハイブリッド車及びクリーンディーゼル車(平成30年排出ガス規制適合又は平成21年排出ガス規制適合)であり、軽自動車の場合は電気軽自動車及び天然ガス軽自動車(平成30年排出ガス規制適合又は平成21年排出ガス規制からNOx10%低減達成)を指します。
※2 「★★★★」とは、平成30年排出ガス規制適合又は平成17年排出ガス基準75%以上低減達成車を指します(以下同じ)。
ただし、グリーン化特例により、税金が逆に重くなるケースがあることに注意しましょう。自動車税の税負担が重くなるケースを「重課」といい、新車新規登録などから一定期間経過した自動車が対象となっています。
具体的には、ガソリン車、LPG車については13年超、ディーゼル車については11年超のものが重課の対象であり、電気自動車、燃料電池自動車などの一部の車両については重課の対象から除かれています。
重課に該当すれば、自動車税の税率に概ね15%が上乗せされますので、中古車を購入する場合は、年式に注意が必要です。