相続:特別受益に関する判例

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今回、特別受益に関する判例をご紹介したいと思います。

特別受益に関する判例としては、保険金との関係で重要なものがあります。

この事案では、被相続人にかけられた保険金の受取人となっていた相続人が、被相続人の死亡により受け取った死亡保険金が、民法第903条第1項に規定されている遺贈または贈与に該当するか否かが争われました。

これに対し、最高裁判所は以下のとおり述べて、死亡保険金は民法第903条第1項に規定されている遺贈または贈与に該当しない旨を述べました。

特別受益に関する判例

養老保険契約に基づき保険金受取人とされた相続人が取得する死亡保険金請求権又はこれを行使して取得した死亡保険金は,民法903条1項に規定する遺贈又は贈与に係る財産には当たらないと解するのが相当である。

もっとも,上記死亡保険金請求権の取得のための費用である保険料は,被相続人が生前保険者に支払ったものであり,保険契約者である被相続人の死亡により保険金受取人である相続人に死亡保険金請求権が発生することなどにかんがみると,保険金受取人である相続人とその他の共同相続人との間に生ずる不公平が民法903条の趣旨に照らし到底是認することができないほどに著しいものであると評価すべき特段の事情が存する場合には,同条の類推適用により,当該死亡保険金請求権は特別受益に準じて持戻しの対象となると解するのが相当である。

出典:http://www.courts.go.jp/app/files/hanrei_jp/421/052421_hanrei.pdf

このように特定の相続人に対して金銭が支払われていたとしても、それが保険金である場合は、特段の事情がある場合を除き、それは相続財産とみなされないのです。

主な理由としては、被相続人の死亡により支払われる保険金は、保険契約者が払い込んだ保険料と等価関係にあるものではなく、被相続人の財産に属していたものではないためと述べられています。


以上のように、特別受益に該当する遺贈または贈与は、相続財産とみなされますので、相続財産の範囲を確定させる場合は特別受益に属する遺贈または贈与を考慮することが大切です。

適切な調査を経ずに相続財産の範囲を確定してしまうと、後から出てきた事実で親族が揉めることになりかねませんので、事前の調査は非常に大切です。

特別受益はあくまで相続人間の公平を保つための制度です。特別受益の制度がもととなって親族でいさかいが起こらないように、相続財産の範囲の確定には慎重になることをおすすめします。

事前に相続に関する相談が必要だと感じている方は、どうぞ税理士紹介タックスナイトまでご相談ください。相続に強い税理士をご紹介させていただきます。

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