税務署に提出しなければならない書類(「金銭納付を困難とする理由書」※ワードファイル)から、この要件を整理してみます。
まず、「納付すべき相続税額」から「納期限(又は納付すべき日)までに納付することができる金額」を控除することで、「延納許可限度額」が算出されるということを理解しましょう。
「納付すべき相続税額」-「納期限(又は納付すべき日)までに納付することができる金額」
他にも加味する条件が加わりますが、重要な柱となる内容は、この「延納許可限度額」の計算だと思ってください。この中で、「納期限(又は納付すべき日)までに納付することができる金額」がポイントになり、次のような計算をすることになるのです。
A)「相続した現金・預貯金等」+B)「納税者固有の現金・預貯金等」-C)「生活費及び事業経費」
A)では「相続した」とありますので、債務は控除できます。そして、B)は自己固有の財産も、相続税の支払いに充てる必要があることを物語っています。そしてA)とB)に共通なのは、金融資産だけでなく換価の容易な財産(保険解約など)も含まれるということです。次のC)ですが、生活費については、以下のように細かく計算します。
④から順に数字を入れていき、最後⑪まで計算できたら、それを十二分の三にします。すなわち、3か月分の生活費ということになるのです。
給与所得者等:前年の給与の支給額 | ④ | 円 |
事業所得者等:前年の収入金額 | ||
申請者 100,000円 × 12 | ⑤ | 1,200,000円 |
配偶者その他の親族 ( 人)×45,000円 × 12 | ⑥ | 円 |
給与所得者:源泉所得税、地方税、社会保険料(前年の支払額) | ⑦ | 円 |
事業所得者:前年の所得税、地方税、社会保険料の金額 | ||
生活費の検討に当たって加味すべき金額 加味した内容の説明・計算等 |
⑧ | 円 |
生活費(1年分)の額 (⑤+⑥+⑦+⑧) | ⑨ | 円 |
配偶者その他の親族の収入
氏名 | (続柄 ) | 前年の収入 ( 円) | ⑩ | 円 |
氏名 | (続柄 ) | 前年の収入 ( 円) | ||
申請者が負担する生活費の額 ⑨×(④/(④+⑩)) | ⑪ | 円 |
C)の事業費をみてみましょう。
⑫・⑬を記入して、⑭を算出します。その数字を十二分の一にします。生活費とは異なり、一カ月分だけが認められます。
前年の事業経費(収支内訳書等より)の金額 | ⑫ | 円 |
経済情勢等を踏まえた変動等の調整金額 調整した内容の説明・計算等 |
⑬ | 円 |
事業経費(1年分)の額 (⑫+⑬) | ⑭ | 円 |
以上でC)の「生活費」と「事業費」の計算ができたことになります。
金銭で納付することが困難な場合とは、「延納許可限度額」が大きくなること
話が細かくなりましたので、再確認しておきましょう。「金銭で納付することが困難」と認めてもらうための計算をしていたのです。「納付すべき相続税額」から「納期限(又は納付すべき日)までに納付することができる金額」を控除することで、「延納許可限度額」が分かるのでした。したがって、「納期限(又は納付すべき日)までに納付することができる金額」が小さければ小さいほど、延納できる金額が大きくなることになります。
つまり、「金銭で納付することが困難」という状況を表す数字になるわけです。
しかし、生活費3か月分と事業費の1か月分以外はすべて相続税の支払いに充てるという計算式からも分かる通り、延納の要件を満たすのはそんなに簡単な話ではないと、お分かりいただけるでしょう。
相続税の延納に代わる方法
では、現実に直ぐ動かせるキャッシュがない場合はどうすればよいのでしょう。この場合には、金融機関から融資を受けて支払う方法を選択すればよいのです。延納しても利子税という利子が必要になります。ケースによっては金融機関で借りた方が、利息が安くなる場合もあります。
相続に関して、相談が必要だとお思いの方はどうぞ税理士紹介タックスナイトまでご相談ください。相続に強い税理士をご紹介させていただきます。