遺産相続の対象となる財産を確認する6つのポイント

税理士コラム:税 相続 財産 対象

相続の際に、どのような財産が対象となるのか気になる方は多いのではないでしょうか。

相続財産(遺産)について確認すると、「財産上の一切の権利・義務を承継します。但し、一身に専属していた権利は除かれます。」といった回答が出てきますが、そう言われてもあまりよくわからないかもしれません。

合計6つのポイントで、相続財産(遺産)を整理していきたいと思います。

①財産上のもの

財産とは『個人や団体に帰属する経済的価値のあるものの総称(Wikipedia)』のことです。

「墓」、「位牌」、「仏壇」、「仏具」というような、これら祭祀に関するものは経済的価値ではなく、「先祖を敬う」という側面を重視するものとして相続財産からは除外されます。

相続税対策でよく取り上げられるのは、金の仏像や仏具ですね。祭祀に関するものは相続財産ではないということから、黄金の仏像や仏具を手元に置いておかれる場合があります。

一般常識からかけ離れ過ぎたり、芸術的価値が高まったりすると、税務署から相続財産とみなされる場合があるので、お気を付けください。

②権利・義務

ここでいう「権利・義務」という言葉をもっと分かり易くすると、「プラスの財産とマイナスの財産」ということになります。

プラスの財産は、被相続人(故人)が所有していた財産のことです。マイナスの財産とは、ざっくりと言えば借金ということになります。払わなければならない財産(負債)のことです。

プラスの財産というのは被相続人(故人)が所有していた財産のことですが、特定の相続人が受取人となっている死亡保険金はどうみなされるか見てみたいと思います。

特定の相続人が受取人なので、「被相続人(故人)が所有していた財産」とは言えません。したがって、特定の相続人が受取人となっている保険金は相続財産には含まれません。

受取人が「相続人」となっている場合は、「特定」の人ではないために相続財産に含まれることになります。受取人が指定されていない場合は、契約約款に従うことになり、約款で具体的に指定されている場合は相続財産にはなりません。

③一身に専属していたものは除かれる

年金の請求権や生活保護受給権、直系血族及び兄弟姉妹の相互に認められる扶養請求権、夫婦間における同居請求権というように、身分上の地位に基づいて認められる権利は相続財産とはなりません。

④税法上の「みなし相続財産」

本来は、被相続人(故人)が所有していた財産ではない(つまり相続財産ではない)のですが、相続税の計算においては、相続財産とみなすものがあります。

その代表的なものが死亡後3年以内に確定した死亡退職金と死亡保険金です。本来は特定の相続人固有の財産であったものでも、相続税の計算では相続財産に含めて計算しなければなりません。

ただし、非課税限度額を超えた分のみが対象となります。非課税限度額は、「500万円×法定相続人の数」の計算で導き出します。

このみなし相続財産の話を聞くと、生命保険を使って相続税対策ができるというのは、間違いではないかと誤解される方がいらっしゃいます。生命保険の受取人が特定の相続人の場合、本来は相続財産ではありません。これは②で説明した通りです。

保険金が2,000万円で法定相続人が3人だとしましょう。すると、500万円×3で1,500万円が非課税限度額です。2,000万円-1,500万円で500万円が相続財産とみなされることになります。

もしも被相続人(故人)が受取人となる死亡保険金ならば、全額の2,000万円が元々の相続財産になるのです。つまり生命保険を使い、1,500万円の相続税対策の効果があったこととなります。

⑤生前贈与された財産

暦年贈与で毎年110万円まで非課税で生前贈与していても、相続開始3年以内のものは、相続税の対象となります。

また相続時精算課税制度を利用した贈与は、相続時に課税対象となります。

⑥特別受益の持ち戻し

生前の贈与に関して、特別受益という問題があります。

これは相続人が婚姻のために支度金や持参金をもらっていた場合や、独立に際して家の建築費を贈与されていたような場合の話です。

このような場合は相続税の対象とはなりませんが、⑤と比較対照した方が分かり易いために、あえてここで紹介いたしました。

特別受益をもらっていた相続人は特別受益の分を持ち戻しすることで、その分だけは既にもらっていることになり、他の相続人よりも少なく遺産分けをすることになります。

⑤と違うところは、特別受益の分は相続税の対象にならないこと、持ち戻しの期間制限はないということです。随分と昔の話でも持ち戻しをすることが可能となります。

但し、特別受益があったとしても相続人の間でそれが問題にならなければ、特別受益の持ち戻しを必ずしなければならないということではありません。


ご紹介の中の「みなし相続財産」や「生前贈与された財産」、「特別受益の持ち戻し」といったものは、相続の際にややこしい専門的な話が必要となることが多いので、相続が発生する前に専門家と相談、確認を行うことをおすすめします。

相続のことでお困り事がある方や、専門家に相続財産を確認してもらいながら相続に臨みたいとお思いの方は、どうぞ税理士紹介タックスナイトまでご相談ください。相続に強い税理士をご紹介させていただきます。

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