法人成りはどのくらいの事業規模からが良いか?

税理士コラム:税,税金,法人,法人成り

個人で営業している事業が順調に進んでいる場合において、その所得のいかんによっては
法人成りを考慮し始めるのが良いケースがあるのですが、具体的にどのくらいの事業規模から法人成りを検討していくべきなのでしょうか。今回は法人成りはどのくらいの事業規模からが良いかについて目安になる金額を根拠を示しつつご紹介していきたいと思います。

1、個人事業主が法人成りを検討し始める事業所得(利益)の目安

個人事業主として事業を継続していく以上、事業所得(利益)のすべてが個人の所得となって、個人として所得税が課税されることになり、その税率は、5パーセントから45パーセントまで7段階の累進課税で、その所得の金額が高くなるほど、法人税率よりも高い税率で課税されることがあります。

具体的には資本金1億円以下の中小企業の法人税率は、所得800万円以下のときは19パーセント、800万円を超える部分については23、2パーセントとなりますので、結局のところ個人事業主として高い所得税を支払い続けるよりも、法人成りしたほうが節税効果があるということになります。
つまり個人事業の所得金額(利益金額)が年間500万円~600万円以上出るようならば、法人成りを検討すべきであるということになります。

また法人成りよって個人事業主が自ら社長となり役員報酬を支給することで給与所得控除の恩恵を受けることができます。
さらに家族を役員報酬を支払う所得分散効果もあります。

2、法人成りすることによって新たに発注する費用

イ、法人成りをするためには法人の登記をする必要があり、株式会社の場合は最低20万円~24万円ほどの登記費用かかかります。
ロ、会社の場合においては、その年度の決算で赤字を出したとしても、法人住民税の均等割(最低7万円)の負担毎年度発生します。
ハ、会社などの法人においては、決算申告業務を自社で遂行することは困難であることが多いために、通常税理士等に依頼することになりますので、その報酬費用が新たに発生します。
ニ、法人においては、社会保険への加入が義務付けられています(強制加入)ので、その保険料負担が新たに発生します。

これらの負担が新たに発生することを考慮してもなお法人成りをする方がメリットが大きいと判断するのであれば、個人事業から法人成り(法人化)を本格的に検討・準備していくことになります。

3、消費税との関連での検討課題

個人事業主が法人成りを検討するもう一つの目安は、消費税の課税売上高が1,000万円を超えるかどうかということです。
課税売上高が1,000万円以下であれば免税になるのですが、1,000万円を超えると消費税の納税義務者になるのです。

法人成りをすると、一部の例外を除いて、1期目と2期目の消費税は免除されます。
事業の業績が順調に伸びて、課税売上高が1,000万円を超える見通しがあるならばその時点で法人成りを検討してもよいと思われます。

4、まとめ

個人事業主が法人成りをしてメリットを享受していくためには、個人事業の業績の動向や消費税の課税対象となる売上高を注目して、最良のタイミングを選択することが重要になります。

法人成りをして事業を成功するためには、事業利益が十分かつ安定的に確保することが大前提となりますので、周到な計画を立てて事に臨むことが肝要であります。

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