確定申告を自分でする失敗例

税理士コラム:税,税金,申告,確定申告

政府の働き方改革の推進やフリーランス人口の増加で確定申告が必要な層が増加しています。しかしただでさえ複雑な税制なのにもかかわらず、税制に不慣れな個人が確定申告を自分で行うと思いがけないアクシデントに巻き込まれることがあります。
今回は確定申告を自分でする際に陥りやすい「失敗例」を申告者別にご紹介していきたいと思います。

1 個人事業者(フリーランス)にありがちな失敗例~青色申告編

青色申告で確定申告をした場合、様々な税法上のメリットを享受することができます。しかし確定申告の時になって「青色申告で確定申告しよう」とおもっても、青色申告で確定申告をすることができない場合があります。
実は青色申告を利用する場合は、前もって「青色申告承認申請書」を税務署に提出することが必要だからです。ですから、確定申告の時期になって「青色申告で確定申告をしたい」と思っても手遅れなのです。

≪青色申告のメリット*≫
・青色申告特別控除
青色申告で確定申告した場合、最大65万円の控除を受けることができます。
(白色申告の場合は10万円)
・青色事業専従者給与
一定に条件を満たす家族の給与を「必要経費」に算入することができます。
・貸倒引当金
貸金の帳簿価額の合計額の5.5%以下(金融業の場合は 3.3%)が必要経費として認められます。
・純損失の繰越しと繰戻し
赤字額を3年間繰り越すことができます。

*参考:国税庁HP「青色申告の特典」
https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shotoku/2070.htm

本来ならば上記のようなメリットを受けることができたのも関わらず、税制をよく理解していなかったために青色申告をすることができずに結果として節税の機会を逃してしまうことがあります。

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2 主婦にありがちな失敗例~扶養控除と雑所得

平成30年から「配偶者控除及び配偶者特別控除の控除額等」が改正されました*。以前は103万円の壁などといわれていた妻の収入ですが、この改正により基本的に150万円まで壁が拡大することになります。
忙しい主婦でも隙間時間を使って仕事ができるなどといわれている、今はやりの在宅ワークサイトなどで副業によって収入を得た主婦はどのような扱いになるのでしょうか?  
具体的には主婦が年間150万円の収入を在宅ワークから得た場合、扶養控除の範囲内に収まるのでしょうか?

*参考:国税庁HP「配偶者控除及び配偶者特別控除の見直しについて」
https://www.nta.go.jp/users/gensen/haigusya/index.htm

① 雑所得のワナ
実は在宅ワークなどから得た収入は「雑所得」としてカウントされます。そして、上記の「配偶者控除及び配偶者特別控除の控除額等」で規定されている収入は「給与」と記載されています。ですから、このケースでは雑所得が150万円となってしまいます。
このように税制に不慣れな主婦が自分で確定申告すると、思わぬ落とし穴にはまってしまうことになります。

② 雑所得に該当する収入
近年、政府が働き方改革の目玉として「副業禁止規定の廃止」を推奨しています。それを受けて、インターネットで簡単にできる副業が大流行しています。こうした新しい形態の副業は「雑所得」扱いになるため注意が必要です。

≪主婦が気をつけたい「雑所得」リスト≫
ⅰ 在宅ワークからの収入
在宅ワークサイト経由の収入は業種を問わず雑所得扱いになるので注意が必要です。

ⅱ ポイントサイトからの収入
手軽にお小遣い稼ぎができることで人気のポイントサイトですが、ポイントサイトからの収入は雑所得扱いになります。

ⅲ 仮想通貨の収入
流行りの仮想通貨投資ですが、仮想通貨の売買で利益が出た場合、仮想通貨売買益は「雑所得」になるので注意が必要です*。

*注意:仮想通貨を保有しているだけの場合は課税対象外です。

ⅳ アフィリエイト収入
アフィリエイトの収入も雑所得扱いになります。

ⅴ インターネット・オークションの収入
インターネット・オークションの収入も雑所得扱いになります*。

*注意:生活用動産は課税対象外です。

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3 投資家にありがちな失敗例~申告分離課税と総合課税編

現在、株式や投資信託といった金融商品だけではなく、FX・仮想通貨・不動産投資など投資先が多岐にわたっています。どの金融商品に投資しても税金体系は同じなのでしょうか?ここでは、税制を確認することなく投資してしまったことによる投資家が陥りやすい税制のワナを見ていきたいと思います。

① 具体例で確認しよう~Aさんの税金はいくらになるの?
例1 会社員Aさんが仮想通貨に投資し、売買益を5,000万円あげた場合
5,000万円×45%=2,250万円
Aさんは2,250万円を納税しなければいけなくなります。

例2 会社員Aさんが株式に投資し、売買益を5,000万円あげた場合
5,000万円×20.315%=1,015.75万円
Aさんは1,015.75万円を納税することになります。

見てきたように、投資商品が違ってくると納税金額が大きく異なることが分かります。この違いは申告分離課税と総合課税の違いから来ています。

*注意:ここでは申告分離課税と総合課税の違いを分かりやすく説明するため、他の所得や控除額を考慮に入れていません。

② 申告分離課税と総合課税とは?
ⅰ 申告分離課税
申告分離課税の場合、他の所得と分離して税額を計算します。また申告分離課税の税率は一律20.315%となっています。

ⅱ 総合課税
雑所得は総合課税の対象でほかの収入(給与所得など)と合算した金額が累進課税で計算されます。税率は下記になります。

所得金額 税率
195万円以下 5%
195万円超~330万円以下 10%
330万円超~695万円以下 20%
695万円超~900万円以下 23%
900万円超~1,800万円以下 33%
1,800万円超~4,000万円以下 40%
4,000万円超 45%

給与所得などと合算して仮想通貨の売買益が695万円以下の場合は総合課税方式のほうが税率が安く済みます。しかし、695万円超の場合は申告分離課税のほうが圧倒的に有利になっています。

③ 投資商品を選ぶときは税制にも配慮しましょう
投資商品はどれでも同じわけではありません。どの投資商品を選択するのかで課税額が大きく異なることがあるからです。

今回は確定申告を自分でする場合の失敗例を納税者別に分けて解説してきました。税制はただでさえ複雑なうえに、毎年のように改正が入るため、なかなか個人で把握できるものではありません。確定申告の失敗で何十万円も多く税金を支払わなくてはいけなくなるケースもあるので、専門家に依頼をして確定申告をしたほうがよいといえます。

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