税務調査の種類
税務調査は大きく分けて「任意調査」と「強制捜査」という2つの種類があります。
犯罪の取り締まりをを前提としているのが強制捜査ですが、任意調査では、個人事業者や資本金1億円未満の法人を対象として行われます。調査対象者の同意が必要ですが、応じなければ処罰対象になる可能性もあるため調査に応じるほかないことが多いのです。
そしてさらに事前予告調査と、無予告調査に分かれます。調査が入る前に証拠隠蔽などが行われる恐れがある場合、現金を取り扱う業態を対象にして事前連絡をせず調査する場合もあります。税務調査では任意調査と強制捜査があり、事前連絡がある調査と、事前連絡なしでの調査があることをご説明しました。
ではこのような税務調査での訪問時には、どのようなことに注意すればいいのでしょうか。
税務調査の対象になる会社や個人の多くは、相続があったり、その相続で係争となっている場合や、税務調査を過去に受けた場合、複数の家族名義の預金が見られる場合、金融機関の取引先が多い場合、などですが、意外と第三者からの通報によって調査対象となる場合も少なくありません。
税務調査にあたり、注意しておくべき点ですが、まず税務調査官も人間であることを認識しておいてください。税務調査では申告の漏れを確認するために思いもよらない質問をされると感じることもあるかもしれませんが、そこで調査官に対して感情的に対応すればやはり相手も不快感を持つことになります。
そして確認すれば何もなかったと説明できることであっても、疑いの目を向けられてしまえば厳しい立場に立たされてしまうことになりかねません。そのような事態を避けるためには税務調査官に対して、できる限り冷静な対応を心がけるようにしましょう。真摯に対応していることが伝われば、不利になることばかりではありません。申告の処理に問題がなければ、調査を終了して問題ないという結果になることもあるのです。
ただし、調査にきたということは、問題点があるということを現況の調査によって確認するためにきているという意味合いもあるため、普段から適切な会計処理を行っていることが大切です。
税務調査での対応の注意点
税務調査での対応の注意点は、
1.冷静な対応で調査をうけること
2.調査官の質問や誘導に対して不用意な回答をしないこと
3.大きなお金の動きがあった理由を適切に説明できること
4.使途不明なお金の動きはしていなかったか再度確認すること
5.見解の相違となるような思い込みでの自己判断をしないこと
政務調査では調査官が非常に上手に話を誘導することがあります。穏やかな人柄の調査官があたかも世間話をしているかのような口調で話しかけると、ついくだらない話の延長線上という意識で話してしまうこともあります。そこで思わぬ突っ込みを受けることになれば、追徴課税を受けることもあるので注意が必要です。
特に注意が必要なのは、自己判断で、「このくらいなら大丈夫だろう」と勝手に思い込み、会計処理をせず適当に金銭を管理してしまうとあとでこうした大きなダメージとなって悪い結果を招くことになります。会社や店舗などの事業を経営しているのであれば、個人事業主であっても抜けや漏れの内容に会計処理を行う意識を持つことが重要です。不明な点や疑問は、税理士などの専門家に必ず確認し、税務調査に際しても質問を想定したシミュレーションをしておくことをおすすめします。
繰り返しますが、ちょっとしたことをおざなりにしてしまうと、税務調査官は必ずそこを突いてきます。入念な調査を辛抱強く行い、税務調査までに間違いなく十分な情報をもとにしたうえで訪問してくるのです。
そこで見解の相違のようなことや、調査官の感情を害するような発言、行動をするのはもってのほかと言ってもいいでしょう。ここまでは、税務調査には誠実に真摯に対応するべきであるという流れでご説明してきましたが、事前予告なしでの突然な税務調査には誰でも不安になると思います。立ち合い人は認められており、信頼できる第三者の立ち合いも可能です。ただし税理士でなければ代理人になることはできません。
任意での税務調査である場合は、日をあらためて訪問してもらうことは可能です。その際も、冷静にそのことを伝えるようにしましょう。税務調査が行われることになった際には、お一人で抱えず税理士と相談し、どのような準備、対応を行えば良いか理解して受けることが望ましいです。