iDeCoの法改正と加入に関する疑問点をわかりやすく解説!

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自分の老後のことを考えて加入するiDeCoは個人型確定拠出年金というのはご存知の方も多いでしょう。高齢化社会の日本では老後は定年間近の方だけではなく、30代から考えるべき重要な課題でもあります。そこで今回はiDeCoの法改正についてご紹介いたします。

iDeCoの法改正はいつから?

iDeCoに申し込むと掛金を拠出(相互扶助のためにお金を出すこと)してそのお金を運用できます。運用方法は自分で選択でき掛金と運用益の合計額を給付として受け取る仕組みになっています。
年金とは別に給付されるので老後年金だけの暮らしをしなくても済むという安心感が得られます。しかも掛金、運用益、給付を受ける時には税の優遇措置が取られているので安心も倍増しますね。

また、年金のように自分が支払った年金額より受け取る額が少なくなるという不安もありません。全て自分に戻ってくるので利用されている方も多いのもわかります。ただし以前よりも高齢化社会が進んだため、法改正が行われることとなったわけです。

ちなみに改正前のiDeCoは受取開始の年齢が60歳~69歳11か月まで、いつでも受け取り開始ができるようになっていましたが、現在では70歳を過ぎても働く方も増えてきたため、受け取り開始時期を引き伸ばせるように法改正が行われました。

この法改正が行われたのが2020年3月3日というわけなのです。

公務員にiDeCoの活用をすすめる理由

iDeCoは公務員にこそ率先して利用して欲しいと言われていますが、その理由はどうしてなのでしょうか?そもそもiDeCoに公務員が加入できるようになったのは2017年1月からでした。

それまでは公務員はiDeCoへの加入ができなかったわけです。ところが年金統合によって公務員の年金受取額が減るため、減る部分をiDeCoで補えるように法改正が行われ、加入者の数も増えていったわけです。

これによって少なかったiDeCoの利用者が増えることを期待できるようになったわけです。利用者が増えれば投資の運用もしやすいですし、より利益が多い金融商品に投資することができるようになりました。

余談ですがこれまでiDeCoへの加入者が少なかった理由は、運用に失敗すれば掛金が減ってしまうのではないか?とリスクを考える方も多かったからのようです。確かにせっかくの老後の資金を少しでも残したいと思うのは当然のことかもしれません。

企業型と個人型の併用について

まず簡単に企業型について説明すると、企業型には確定給付型年金(DB)と確定拠出型年金(DC)の二つのタイプがあり、退職金に当たる部分がDBで毎月の拠出額が決まっているのがDCです。

退職金、あれは会社が感謝の気持ちで出しているなんて考える方はもういないと思いますが、退職金の金額を保証するための積み立てがDBと言います。企業に就職すれば必ず支払う福利厚生の部分に入っていますよね。
この企業型を利用している会社では、運用する金融商品は自分で決めるので最終的な退職金はそれぞれ同じ金額ではなく、選んだ金融商品によって変わるわけです。できたらこれにプラスして個人型を運用したいですよね。
ですが企業型と個人型の併用は意外と難しいものなのです。いくつものハードルを超えなければ併用することはできません。その条件は以下の通りです。

・規約にマッチング拠出ができると定めていない。
・iDeCoに加入できると規約にある。
・企業DCとDBの併用時の金額が15,500円以下と定めている。
・企業DCのみの場合は月額35,000円以下である。

上記した条件をクリアできていれば企業型DCのみの場合は月20,000円、併用している場合は月12,000円までのiDeCoが利用できるようになるのです。

法改正後のiDeCoのここが利用者を減らしている

老後の生活を少しでも豊かにするためのiDeCoですが、法改正前は利用者の数があまり多くはありませんでしたが、2017年の改正で公務員の加入が認められ、利用者が増えたことは事実かもしれませんが、企業型との併用が難しかったことが災いしていたのも事実でしょう。

そのため企業では規約の変更をするなどをしなくてはなりませんでした。さらにこの時の法改正後は規約の変更をしなくても社員がiDeCoへ加入しやすくなり、さらにマッチング拠出とiDeCoのどちらかを選択できるという選択肢も増やされたのです。

これは大きなメリットなのですが、一方で利用者を減らしている問題もあるのです。それが企業型確定拠出年金の企業負担です。企業負担は企業型確定拠出年金の掛け金とiDeCoの掛金の合計が55,000円まで。

もし企業がiDeCoを計算するならばこれまでの企業型部分を2万円減らさなくてはならなくなります。するとiDeCoを掛けたくない社員は退職金などが減ることになるわけです。それでは話が違うとなるので社員全体の合意が得られない。
これがiDeCoの加入者が増えない大きな要因となっているわけですね。つまりそもそも上限いっぱいに企業型に掛金をかけていない企業にお勤めの方にとっては喜ばしいことになるわけです。

ただしiDeCoは運用の仕方によっては将来の資産を増やす結果となり、老後を豊かにするための優遇措置ですので、加入するメリットはかなり大きいものだということを頭に入れておくと良いでしょう。

まとめ

今回はiDeCoの法改正によってどのように私たちの老後が変わっていくのか、そして企業型との併用についてをご紹介いたしました。この記事が老後の資産運用でiDeCoへの加入を検討されている方のお役に立てれば幸いです。

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