新型コロナウイルスの感染拡大によって、日本だけではなく世界中の景気が落ち込み、依然としていつ回復するのかわからず、不安定な経済が続いています。そんな中、日本では消費税が10%に上がるなど、消費者にとって苦しい状況が続いています。
そんな状況の中、政府は2021年に住宅ローン減税のための改正を行いました。喜ばしいことではありますが、実際にどこが変わりどんなメリットがあるのかを、詳しく知らない方もいるかもしれません。
そこで今回は、2021年度の住宅ローン減税のポイントと、対象となるケース・条件などをわかりやすく解説します。
2021年度住宅ローン減税のポイントは「期間延長」と「床面積要件の緩和」の2つ
住宅ローン控除とは、マイホーム取得支援策として始まった制度です。以前は10年の間、住宅ローンの年末残金額の1%の税金が控除されるというものでした。これが2021年に消費税が8%から10%に上がったため、3年間の延長が決まったのです。
もう一つは床面積要件の緩和です。戸建て住宅は壁芯面積(へきしんめんせき)、マンションは内法面積(うちのりめんせき)が50平方メートル以上でしたが、所得が1000万円以下の場合は40平方メートル以上も対象となりました。
ただ、床面積の1/2以上が居住用としていることが条件に入ります。では住宅ローン減税の対象となる条件をご紹介します。
住宅ローン減税の対象について
新築住宅の購入のみが対象となっているわけではなく、実際には中古住宅や中古マンションの購入や、リフォームや増改築をした場合にも条件が合えば適用となります。自宅が対象となるかどうかを必ずチェックしましょう。
住宅ローン減税を受けることができるのは、以下の条件を満たした場合に限られます。
住宅ローン減税を受ける人が住んでいること
住宅ローン減税を受ける本人がその住宅で暮らしていることが条件です。例えば購入して住宅ローンを払っているのは自分でも、誰か第三者に賃貸住宅として貸している場合は受けられません。
黙っていれば問題ないのでは?と思われるかもしれませんが、住民票で確認されるので本人が暮らしているかどうかはすぐにわかりますので、必ず居住している住宅である必要があるのです。
合計所得金額の合計が3000万円以下であること
住宅ローンを借りるとき、夫婦がそれぞれローンを組むケースがあります。ペアローンと言いますけれど、この場合は夫婦の所得金額の合計が3000万円以下であることが要件です。
ワンポイントアドバイスとして、ペアローンを組むと、それぞれが住宅ローン減税を受けられるので、ペアローンを組んだ方はぜひご夫婦で住宅ローン減税の適用を受けましょう。
所得が1000万円以下であること
床面積が50平方メートル以上から40平方メートル以上へと引き下げになりましたが、所得が1000万円を超えた年は住宅ローン減税が適用となりません。
また、増改築やリフォームを行った場合に住宅ローン減税を受けるときには、「床面積の1/2以上が自己の居住用」が「増改築・リフォーム費用の1/2以上が自己の居住用であること」が要件です。
さらにリフォームの場合は住宅ローン減税かリフォーム減税のどちらかを選択します。リフォームの工事費が100万円を超えるなら、住宅ローン減税を受けられますが、重複ができないので有利な方を申請します。
土地にも住宅ローン減税が適用になるケース
一般的に住宅を購入する場合(戸建て)土地と建物を同時に購入するものですが、この場合は建物にしか住宅ローン減税が適用となりませんが、2年以内に住宅を新築するために土地を購入した場合は適用できます。
他にも注文住宅で住居を立てる場合で、住宅建築と別に土地の購入を行った場合も適用になりますが、土地に対する住宅ローン減税の期間は10年間です。
住宅ローン減税の控除額
住宅ローン減税を申請するとどのくらい減税になるのかが気になります。実は住宅ローン減税は住宅の性能によって変わるのをご存知でしょうか。住宅の性能は「一般住宅」「長期優良住宅」「低炭素住宅」に分かれます。
長期優良住宅と低炭素住宅は一定の基準をクリアし、申請をして認定されている住宅のことをいいます。この二つの住宅の違いや特徴を紹介します。
一般住宅の控除額
一般住宅の場合、借入金年末残高の条件が4000万円で、1年間の最大控除額は40万円です。10年間で400万円でした。これが控除期間が13年に延長したことで、以下のように変わりました。
1年目~10年目までは住宅ローンの年末残高(4000万円が上限)×1%×10年、最大控除額は400万円です。11年目~13年目は住宅ローンの年末残高、または住宅の取得対価のうちのいずれか少ない金額×1%です。
この時も上限額は4000万円です。建物の取得価格は4000万円が上限なので、4000万円×2%÷3年で算出します。
長期優良住宅の控除額
長期優良住宅というのは将来バリアフリーの住宅にするためのリフォームに対応している住宅、地震に対する損傷レベルを低減できる住宅、床下空間が330mm以上確保でき、劣化対策等級3級相当ある住宅。
さらに次世代省エネルギー基準をクリアするための断熱性能を確保している住宅、リフォームしやすい可変性がある住宅か、住戸面積が75平方メートル以上(戸建て)マンション55平方メートル以上の住宅。
配管などのメンテナンスの容易性がある住宅、地域の景観を損なわないデザインで、定期的な補修計画があるかどうかなどの条件を満たした住宅のことを言います。
長期優良住宅の控除額は、1年目~10年目が住宅ローンの年末残高5000万円。5000万円×1%×10年なので、最大控除額は500万円です。11年目~13年目は住宅ローンの年末残高または住宅の取得対価のうちいずれか少ない金額。
こちらも5000万円が上限で、上限5000万円の場合は5000万円×1%です。建物の取得価格を選択する場合、5000万円(上限)×2%÷3年で算出されます。
低炭素住宅の控除額
一方低炭素住宅というのは断熱性や日射遮蔽性がある住宅、省エネ基準よりも一次エネルギー消費量を10%以上削減できる住宅であることが必須条件の住宅で、かつ選択的項目を2つ以上満たしている住宅です。
選択的項目は、節水機器の設置、雨水、井戸水、雑排水利用の設備設置、ホームエネルギーマネジメントサービス(HEMS)の設置、ヒートアイランド対策をしている、住宅の劣化軽減措置をしている住宅。
さらに木造住宅であり、構造耐力上主要な部分に高炉セメント、またはフライアッシュセメントを使っている住宅です。
これらの住宅は一般的な住宅よりも耐久性が高く、環境に配慮されているため高額です。そのため減税額も一般の住宅よりも高く設定されているのです。
低炭素住宅の控除額は長期優良住宅の控除額の計算と同じです。
住宅ローン減税を受ける手順
住宅ローン減税を受けられるのは、入居した年の翌年の確定申告が必要です。初年度の手続きの手順は、住所地等の管轄の税務署の受付に必要書類を提出します。これは確定申告を行うために必要な書類です。
確定申告は税務署に直接提出する方法以外にも、時間外収受箱を利用する方法もあります。お仕事をされている方はこちらの方法が便利です。さらに自宅から国税庁のホームページ内にある、確定申告書作成コーナーを利用しても良いでしょう。
電子申告はe-Taxといって、脚を運ぶ必要も書類を書く必要もなくて便利です。必ず申告をしないと受けられない制度なので、入居した翌年の確定申告は忘れずに行いましょう。
住宅ローン減税の手続きに必要な書類
住宅ローン減税の手続きに必要な書類は、国税庁のホームページからダウンロードする方法がおすすめです。書類の名称は「(特定増改築等)住宅借入金等特別控除額の計算明細書(提出用)」です。
もう一つは一般住宅、認定住宅(認定長期優良住宅、低炭素建築物)、中古住宅の適用要件を満たしていることを確認する書類です。提出書類がわかりにくい方や、漏れなく書類をそろえるために便利なチェックシートを税務署でもらうと良いですね。
他に注意する点は、連帯債務やすまい給付金を受け取った方の場合、付表の作成をしなければなりません。他にもマイナンバーの記載が必要なので、マイナンバーカードもしくはマイナンバーが記載された住民票を用意すると良いでしょう。
まとめ
今回は、住宅ローン減税の変更点、そして住宅ローン減税の減税額、申請の手続きや必要書類などについてご紹介しました。お得に住宅を手に入れるチャンスを逃さず、ぜひ上手に活用してみましょう。