![役員報酬の見直しでキャッシュフローが改善 [不動産業(東京都豊島区):年商9,000万円]](https://tax-knight.com/wordpress/wp-content/uploads/2025/12/case20250903.jpg)
東京都豊島区で不動産業を営む企業様より、「利益は出ているはずなのに、資金繰りに余裕がない」というご相談をいただきました。
毎月のキャッシュフローに違和感を覚えていたものの、原因が分からず不安を抱えていた状況です。
利益は出ているのに、資金が残らない原因が分からなかった
安定した管理収入と仲介手数料を基盤に事業を拡大していました。取引先や管理物件も増え、表面的には順調に成長しているように見えていましたが、「毎月きちんと売上は立っているのに、手元資金が思ったほど増えない」という不安をお持ちでした。
決算書上では利益が出ているものの、資金繰りに余裕がなく、次の投資や突発的な支出に対して慎重にならざるを得ない状況で、次のような課題を感じていました。
- 月々の役員報酬を慣例的に決めており、根拠が曖昧
- 法人税・所得税・社会保険料の負担を総合的に把握できていない
- 税金や保険料の支払時期に資金が圧迫されやすい
- 利益とキャッシュフローの違いを整理できていない
役員報酬は「一度決めたらそのまま」という状態が続いており、事業規模や収益構造の変化に応じた見直しが行われていませんでした。その結果、税負担や社会保険料がキャッシュフローを圧迫している可能性があるにもかかわらず、具体的な対策を打てずにいました。
この状況を改善するには、数字を俯瞰して捉え、報酬設計を含めた総合的な見直しが必要でした。
役員報酬設計に強い税理士をご紹介し、キャッシュフロー改善へ
役員報酬の設計や法人・個人双方の税負担を踏まえた提案に強い税理士事務所をご紹介しました。この税理士事務所は、単に税額を計算するだけでなく、「手元に資金を残す」ことを重視したアドバイスを行っており、これまでの経験から適切なアドバイスをいただけると感じた事業主様は、早速税理士事務所のサポートを受けることにしました。
決算内容、役員報酬額、税負担、社会保険料の状況を整理し、税理士事務所で次のような観点から見直しを進めました。
- 法人・個人それぞれの税負担をシミュレーション
- 役員報酬額と法人利益のバランスを検証
- 社会保険料を含めた実質的な手取りと負担を比較
- キャッシュフローへの影響を月次・年次で可視化
- 将来の投資計画を踏まえた報酬水準を検討
この分析により、「報酬を多く取っているつもりでも、実際には税金と保険料で多くが流出している」状態が明確になりました。
税理士の提案をもとに役員報酬額を適正な水準へ見直し、法人に一定の利益と資金を残す設計へ変更しました。その結果、法人のキャッシュフローが安定し、税金支払後でも資金に余裕が生まれるようになりました。
役員報酬を「固定費」ではなく「経営戦略の一部」として捉え直したことが、今回の改善につながりました。
まとめ
役員報酬は、法人と個人の税負担、社会保険料、キャッシュフローに大きな影響を与える重要な要素です。しかし、慣例や感覚で決めたまま見直されていないケースも少なくありません。
役員報酬設計に強い税理士事務所がサポートすることで、税負担と資金の流れを整理し、キャッシュフローを改善することができました。利益だけでなく「実際に手元に残るお金」を意識した経営へと転換できたケースとなりました。
不動産業のように取引金額が大きい業種では、役員報酬の設計次第で経営の安定度が大きく変わります。専門家と連携し、定期的に見直すことで、安心して事業成長を進めることが可能になります。
